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膵十二指腸アーケード動脈瘤

  • 腹部内臓動脈瘤の2%と少ないが、破裂のリスクは7割近くあり、破裂時の死亡率は50%と非常に高い
  • サイズや性状によらず、発見次第治療適応となる。
  • 原因としては、膵液瘻による仮性動脈瘤(膵炎後、膵頭十二指腸切除後(PD)など)の他、腹腔動脈の狭窄〜閉塞によるSMAからの代償性血流増加による。
  • 腹腔動脈の狭窄〜閉塞によるSMAからの代償性血流増加の原因の1つが、正中弓状靭帯による腹腔動脈起始部の圧迫(呼気時に靭帯圧迫が強くなるので呼気で撮影する)。
 症例 50歳代男性 胃切除後。術後膵炎、膵液瘻。

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術後膵炎あり。胃十二指腸動脈(GDA)から膵十二指腸アーケードに内側に突出する動脈瘤の形成あり。この時点で血管内治療を行なうべきだった。
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膵十二指腸アーケード動脈瘤の破裂による腹腔内出血。出血性ショック。→緊急アンギオ施行となる。

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膵十二指腸アーケード動脈瘤あり。コイリング施行にて止血。

症例 70歳代男性 膵臓NETにてPD後。吐血あり。

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ダイナミックCTの早期相において、固有肝動脈より、仮性動脈瘤の形成あり、同部位からextravasationあり。緊急アンギオとなる。

アンギオでは、腹腔動脈造影にて、固有肝動脈より、17mm大の仮性動脈瘤の形成あり。

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▶︎コイリング施行

子カテを用いて、瘤よりやや末梢へアプローチし、造影。瘤の描出がないことを確認し、同部位より、コイリング施行。(2mm/6mm 4本、2mm/5mm 4本、2mm/4mm 4本、3mm/2mm 1本留置。瘤内へのコイル留置は不可であった。)

造影にて瘤への造影剤の混入が消失。

▶︎ヒストアクリル注入

子カテから造影剤で、どれくらいまでの造影剤の流入なら逆流しないかをテスト。5ml程度ならば、逆流しないことを確認。ヒストアクリル2cc,リピオドール2ccを混和し、同部位より注入。直ちに子カテ抜去。

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腹腔動脈からの造影にて、瘤の描出は消失した。

症例 40歳代女性 膵体尾部切除術後。十二指腸一部切除術後。

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膵十二指腸アーケード(GDAの末梢)に仮性動脈瘤の形成あり。extravasationあり。緊急アンギオへ。

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GDA造影にて、末梢に仮性動脈瘤あり。ただし、より末梢の血管の描出は認めず。末梢にコイルを置いて、コイルを積み上げるのは断念。ヒストアクリルを使用に。

GDA末梢から造影剤をテスト注入。0.5cc程度入れたところで、仮性動脈瘤の描出あり。生理食塩水を2.5ccシリンジに3本用意し、ゆっくり流し続ける。

ヒストアクリル0.5cc+リピオドール0.5ccを混濁し、うち0.6ccを注入。仮性動脈瘤及びそこからのextravasationの描出を認めた、小カテに陰圧をかけたまま、小カテを抜去。

その後、再び別の小カテを用いて、GDAを選択して造影。

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鋳型状にヒストアクリルは積み上がり、仮性動脈瘤とともに造影剤の流入なし。
その後、SMAから造影し、仮性動脈瘤に血流がないことを確認して終了。

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ヒストアクリルとは?

  • NBCA(N-butyl-2-cyanoacrylate)のことで、血液や組織に触れると固体となる特性を生かして、血管内液体塞栓物質として使用される。
  • 細い血管まで入り、血管内で鋳型となるため、完全な塞栓を得ることができる。
  • また再開通も起こりにくいとされる。
  • 脳脊髄神経領域での脳脊髄動静脈奇形、動静脈瘻、髄膜腫などで用いられることが多い。
  • ただし、血管内への使用は禁忌とされ正式な適応疾患はなく、十分な説明と、症例を選んで使うことが必要。

使い方:

  1. 塞栓部位もしくはできるだけ遠位までマイクロカテーテルを進める。
  2. NBCAとリピオドールをよく混合。比率は、通常NBCAが20-60%。
  3. 注入前は、2.5ccのシリンジを複数用意し、生食を、マイクロカテーテル内に絶えず流す
    ※リピオドール量を増やすと固まるまでの時間が延長する。1:1の場合、固まるまでの時間は30秒程度。
  4. 透視下で2で作ったNBCAを注入。注入後は、シリンジで陰圧をかけながらマイクロカテーテルを速やかに抜去する。

参考)十二指腸潰瘍からの出血などの対応(memo)

内視鏡で十二指腸潰瘍などからの出血を止血できない場合などは、血管内治療(アンギオ)の対象となることがある。この場合は、主に胃十二指腸動脈(GDA)を造影して、extravasationや動脈瘤の有無をチェックすることになる。

はっきりしない時は、ノルアドレナリンを用いることがある。ノルアドレナリン1A(1mg)を100ccの生理食塩水に溶き、うち1ccを生食で薄めて用いる。これにより出血部位が明らかになることがある。

この際の止血の方法としては、

  1. GDAの枝を選べない場合、出血部位の末梢からコイルをひたすら積み上げていく。
  2. 最初はコイルを積み上げ、途中で、セレスキューなどを使い、コイルでサンドイッチする。
  3. 最初はコイルを積み上げ、途中で、ヒストアクリルを用いる。

方法が考えられる。

1、コイルをひたすら積み上げる。

この場合、相当数のコイルが必要で10-20個必要な場合もある。GDAは割と太いので、4-5mm径のコイルを用いてみる。3mm程度だとコロコロとより末梢へ流れていく可能性あり。

2、途中からセレスキューを用いる。

コイルのみを積み上げるのは大変なので、間にセレスキューをサンドイッチする方法。この場合、セレスキューは1mmシリンジをギリギリ通るような割と大きめなサイズで切る。肝臓のTAEの時のように、造影剤の中にパラパラと塞栓物質があるのではなく、液体の割合を少なくする。大きなセレスキューを1つずつ流していくイメージ。

3、途中でヒストアクリルを用いる。

これも、コイルのみを積み上げるのが大変な場合に用いられるが、それ以外に、

  • コイルが積み上がらない場合
  • コイルが伸びてしまう場合

などが適応となる。塞栓物質が、GDAより中枢の枝に入らないように、コイルとGDAの残りにはある程度の距離が必要。使用方法は、上の症例で行っている通り。カテーテルの先をコイルの中に置いた状態で用いるのがポイント。

ちなみに、コイルを置かない状態で、ヒストアクリルを用いるとより末梢へ塞栓物質が流れてしまうので、NG。ただし、上の症例のように末梢の描出が認められない仮性動脈瘤などでは、コイルを置かない状態でいきなりヒスとアクリルを用いることもある。

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