肺の扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)

  • 発生部位は65%は中枢気管支、肺門部肺癌35%は末梢肺野。末梢の頻度が増えている。(肺野型肺癌の20%が扁平上皮癌)
  • 喫煙関連、金属(ニッケル、クロム)、アスベストが関与。
  • 背景に線維化、肺気腫、ブラ、気管支拡張症などの既存病変があることが多い。
  • 腫瘍内壊死が多い。壊死部と気管支が交通すると空洞形成を起す。
  • 胸壁浸潤>胸膜播種。
  • 予後因子はリンパ節転移、間質性肺炎の合併。

肺扁平上皮癌の画像所見は?

  • 初期は、気管支壁の限局性肥厚のみのことがあり画像上指摘困難なことが多い。末梢に閉塞性肺炎や粘液栓などの2次性変化が手がかりとなることがある。
  • 逆に言えば、高齢者の軟治性の肺炎を見たら、肺門部肺癌の可能性を常に考慮する。
  • 閉塞性肺炎は遷延すると無気肺となり、air bronchogramは消失する。

肺野型の扁平上皮癌

  • 肺野型では薄壁の小さな気管支に発生するため、早期に気管支外へ進展し、肺実質に浸潤して充実性の腫瘤を形成する。周囲構造の圧迫と収縮のバランスにより、丸い、いびつ、notching、spiculaが見られる。充実型腺癌に類似
  • 気管支の破壊や閉塞によって病変の末梢に二次性の肺炎を生じやすい。
  • 基本:肺胞構造を保存しつつ、肺胞腔内を充填。肺胞基底膜に沿いつつ、肺胞上皮を押し上げ肺胞腔を埋める。つまり、辺縁明瞭な圧排性発育パターン。こちらが6割
  • 他に、周囲構造の収束、胸膜陥入といった低分化型腺癌に似た顔つきをする中心瘢痕型、辺縁に高度の不整像・線維化を認めるびまん性間質増殖型がある。これらが4割と結構ある。
  • 蜂窩肺に発生した癌は、浸潤影は蜂巣肺の肥厚を呈する。

間質性肺炎合併の肺癌

  • 間質性肺炎は肺癌の合併の頻度が高く、間質性肺炎がない場合と比較して7-14倍発生しやすいと報告されている1)
  • 男性・喫煙歴・高齢者に多い。
  • 扁平上皮癌が多い傾向にある。他、腺癌や小細胞癌などもあり。
  • CTでは明瞭な類円形や分葉状の充実生結節を定することが典型的。経過観察が重要。線維化部位と正常部位の境界や気腫性嚢胞と接して発生することが多い2)3)
  • 嚢胞内に生じた肺がんは、アスペルギローマとの鑑別が重要。アスペルギローマは造影効果を示さない。
症例 70歳代男性 IPに合併した扁平上皮癌

squamous

蜂巣肺に接して壁肥厚所見を認めています。

生検で扁平上皮癌と診断されました。

参考文献)
1)Gen Tjprac Cardopvasc Surg 6:254-261,2013
2)AJR 199:85-90,2012

3)J Thrac Imaging 18:67-71,2003

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