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2010年放射線科専門医試験問題&解答解説【1-5】基礎

問題原本はこちらからご覧ください。

1,

放射線作用の発現過程のうち,2 番目に起こるのはどれか。1 つ選べ。
a 化学的過程
b 物理的過程
c 臨床的過程
d 生化学的過程
e 生物学的過程
1, a

・物理b→化学a→生化学d→生物e→臨床c


 

2,

全身被曝において,最も少ない線量でヒトの死をもたらす原因となる臓器・組織はどれか。1 つ選べ。
a 肝
b 脳
c 骨髄
d 心臓
e 消化管
2, c

・骨髄死 (2-10 Gy)、腸死 (10-100 Gy)、中枢神経死(100Gy以上)に分類される。

・心臓、肝臓は骨髄死を起こす線量よりも多くの線量が必要。

参考1)放射線被ばく→DNA切断→幹細胞死滅→臓器萎縮、正常な機能保てない→感染症、出血、下痢、脱水、意識障害→死に至る。死因となる臓器は線量が高くなるにつれて「造血系(骨髄)→消化管→脳・神経系」と移っていき、生存期間も短くなる。

参考2)放射線の作用を受けやすい臓器=細胞分裂が盛んな臓器=造血細胞、生殖腺、皮膚、腸上皮、水晶体


 

3,

エックス線感受性が最も高いのはどれか。1 つ選べ。
a リンパ球
b 神経細胞
c 心筋細胞
d 小腸上皮細胞
e 胃粘膜上皮細胞
3, a

・リンパ球 > 小腸上皮細胞 > 胃粘膜上皮細胞 > 心筋細胞、神経細胞の順。

・リンパ組織、腸上皮、卵巣、精巣、造血組織で放射性感受性が非常に高いことは覚えておく。

※リンパ組織は増殖活性は低いが、放射線感受性は最も高い。例外として覚えておく。

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4,

誤っているのはどれか。1 つ選べ。
a LET の増加に伴って RBE も上昇するとは限らない。
b 放射線による発がんでは,白血病の潜伏期が最も長い。
c 同線量のエックス線の 1 回照射では,線量率が低下すると細胞生存率も低下する。
d 低酸素状態でエックス線照射された細胞は,大気中で照射した場合より生存率は高い。
e エックス線照射後の細胞を低酸素状態にすると,通常の状態より細胞生存率が上昇する。
4, b,c(誤りが2つあり。)

・a: LETが大ならばRBEも大。しかし、100keV/μm以上で低下。なぜ低下するかというと、「オーバーキル」が関係していると言われている。オーバーキルとは細胞を死滅させるに必要な吸収線量以上の線量を与えている=ロスをしているoverkill

※RBE=relative biological effectiveness(生物学的効果比)ある生物効果を引き起こすのに必要な基準放射線の吸収線量(定数)/ 問題としている放射線で同じ効果を引き起こすのに必要な吸収線量つまり分子は定数で、分母は強い放射線(LET)だと小さいため、結果、RBEは大きくなる。

・b:白血病が他の癌と比較して潜伏期間が短い。

・c:まず線量率とは単位時間あたりの線量のこと。低 LET 放射線では、線量率が小さくなり照射時間が長くなると線量が同じでも生物効果は小さくなる(細胞生存率が上昇する)。線量率が低下すると長い照射期間中に亜致死障害が修復されるため。

問4のeについて質問です。酸素効果は照射中の効果だと思うのですが、そうなるとeもバツになると思ってしまいました。照射後の低酸素でも酸素効果があらわれるのでしょうか?→おっしゃる通りです。修正しました。

・e:照射中に低酸素にすると細胞生存率が上昇する。照射後にしても意味がない。

その後、エイ様から。
放射線照射後の環境条件により細胞生存率の上昇する現象を潜在的致死障害からの回復と言って、本来なら死に至る障害に対して修復する時間を与えるころによって細胞が死を免れる現象をいうそうです。よって照射後に低栄養、低PH、低酸素にすると潜在的致死障害からの回復がおこって生存率は上昇します。ので○だと思います。(金原出版、放射線生物学を参考にしています)

ありがとうございます。治療の先生にも確認したのですが、やはりエイ様のおっしゃることが正しそうです。照射中でも照射後でも、生存率は上昇するんですね。

・潜在的致死障害の回復(PLD回復)は照射後環境変化で細胞生存率が上昇するもの。この回復が起きやすい環境は、低温、低栄養、低酸素状態など細胞が増殖しにくい状態におかれたときである。と、放射線科専門医過去問頻出問題 基礎【DNA損傷と修復】に記載していました。

・また、ややこしいですが、照射後に低酸素状態にしても酸素効果は期待できないが、潜在的致死損傷回復(PLD)は起こり、それにより生存率は上昇する。つまり、酸素効果による生存率は上昇しないが、PLDによる生存率は上昇する。と、放射線照射後、亜致死・障害からの回復、4R、照射後の環境条件に記載していました。

※ちなみに、知っておきたい放射線治療学 基礎と臨床 新興医学出版社ではP10で、eは×になっており、解説はありません。


 

5,

細胞周期において,エックス線抵抗性を示すのはどれか。1 つ選べ。
a M期
b G1 期
c G2 期
d S 期前半
e S 期後半
5, e

cell

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