2012年放射線科診断専門医試験問題&解答解説【71-75】

問題原本はこちらからご覧下さい。

71, 

小学生の男児。甲状腺機能低下を示すため,123I-NaI を用いた甲状腺シンチグラフィが施行された。全身の前面像を示す。可能性が高いのはどれか。1 つ選べ。
a Plummer 病
b 異所性甲状腺
c 慢性甲状腺炎
d 亜急性甲状腺炎
e 抗甲状腺薬過剰投与
71, b

・頚部の集積は、実際の甲状腺の位置よりもやや上方か。異所性甲状腺への集積か。

・NaI 経口投与、消化管より2時間以内にほとんどが吸収、血液中に入り、甲状腺機能に応じて甲状腺に集積され、ごく一部が唾液腺、胃腺、乳腺に摂取され残余の大部分は腎排泄される。


 

72,

60 歳代の男性。糖尿病と高血圧で治療中,採血にて血清 Ca 12.2 mgdl(基準値 8.7~10.3),血清 P1.8 mgdl(基準値 2.5~4.7)と異常値を示したため精査となった。施行されたシンチグラフィについて正しいのはどれか。1 つ選べ。
a 悪性リンパ腫が疑われる。
b 異所性副甲状腺腺腫が考えられる。
c intact PTH は正常値であると予想される。
d 骨シンチグラフィによる精査が必要である。
e 用いた放射性医薬品は99mTc-PMT である。
72, b

・後期像でも集積が残っている点から副甲状腺腫の疑い。

副甲状腺シンチ

・2011年に保険適応になった。

・99mTc-MIBI静注2~4時間後。早期像と後期像を比較する。

副甲状腺腫は後期像で集積が明瞭になる。

・正常副甲状腺は描出されない。正常甲状腺の集積は約5分でピークとなり、以降は時間とともに減少。

・有用な疾患:副甲状腺機能亢進症、異所性副甲状腺、移植副甲状腺


 

73,

50 歳代の男性。検診の超音波検査にて左副腎に腫瘤を指摘され精査となった。131I-adosterol 投与 9 日目の腹部後面像を示す。正しいのはどれか。1 つ選べ。
a 褐色細胞腫
b 転移性副腎腫瘍
c ACTH 産生下垂体腺腫
d 原発性アルドステロン症
e 副腎皮質腺腫(Cushing 症候群)
73, e
副腎皮質シンチグラフィ

原発性アルドステロン症、Cushing症候群および副腎性器症候群が疑われる場合、まず副腎シンチグラフィの適応となる。

・前処置:甲状腺ブロックの目的で、ルゴール液を経口投与。

・アドステロール静注後2~3日目では、肝、胆嚢、腸管などが副腎と同時に描出され、副腎イメージと重なって読影の邪魔になるが、7~9日後の撮像では、肝、胆嚢、腸管の放射能はほとんどが消失し、副腎のみが明瞭に描出される。

症例 50 歳代の女性。左足底部悪性黒色腫。

内分泌学的異常は見られない。131I アドステロールによる副腎シンチグラフィ。131I-adsterol

2008年放射線科診断専門医試験問題75より引用

右副腎に131Iアドステロールの集積あり、内分泌的異常を認めない点から右副腎腺腫を疑う。
原発性アルドステロン症

・原因のほとんどは、副腎皮質腫瘍によるもの。両側副腎過形成による場合(特発性アルドステロン症)あるいは癌はまれ。

・副腎皮質腺腫があると病側へのRI集積は増す。健側副腎はACTHを介したフィードバック機構によりややRI集積が抑制されることもあるが、Cushing症候群の場合ほど強くなく、健側副腎が全く描出されることは少ない。

・RI集積がなく診断に迷うとき(ほぼ1cm前後の腺腫が検出限界)、Dexamethasone抑制試験が行われることがある。正常副腎皮質はdexamethasoneにて抑制されるが腺腫では抑制されないため、腺腫だけが明瞭に描出されることが多い。

Cushing症候群

副腎皮質腫瘍によるものと両側副腎過形成によるもの、日本ではほぼ半々。

・腫瘍の大部分は腺腫であるが、約10%は癌。

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74,

50 歳代の男性。15 年前から血液透析を受けており,1 ヶ月前に献腎移植を受けた。intact PTH が高値である。骨シンチグラムを示す。可能性が高いのはどれか。1 つ選べ。
a 大腸癌
b 両側胸水
c 肺胞微石症
d 転移性肺石灰化
e 甲状腺癌の肺転移
74, d
転移性石灰化

・副甲状腺機能亢進症、腎性骨異栄養症など種々の原因による高カルシウム血症の際に、二次的に正常組織にカルシウム塩が沈着した状態

・全身の間質組織に生ずるが、特に血管壁、肺胞壁、腎や胃粘膜の間質などに多く、RIが集積する。


 

75,

70 歳代の男性。左腎癌の精査を目的に来院した。18F-FDG PET の MIP 像と PETCT 融合画像ならびに腹部造影 CT を示す。誤っているのはどれか。1 つ選べ。
a 縦隔転移を認める。
b 胸壁転移を認める。
c 心集積は生理的である。
d 原発巣への強い集積を認める。
e 傍大動脈リンパ節転移を認める。
75, d

・原発巣への集積は強くない。腎門部に集積はあるが。

・腎細胞癌のPETの感度は30~50%。基本的に腎癌にPETは使えない。

・腎細胞癌は脱リン酸化酵素活性のためFDG集積が低いものがある。腎実質のFDG集積や腎盂腎杯内の尿貯留によりバックグラウンドが高い。

参考)PET核医学認定医 臨床編6 腹部・婦人科領域

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