もやもや病(Willis動脈輪閉塞症、moyamoya disease)

  • 両側内頸動脈終末部(眼動脈分岐より遠位部)からWillis動脈輪の動脈閉塞をきたす疾患。
  • 成因は不明。動脈硬化、自己免疫疾患、髄膜炎、脳腫瘍、Down症候群、von Recklinghausen病、頭部外傷、頭部放射線照射後の脳血管病変、その他基礎疾患に伴う類似の脳血管病変、は除外する必要がある。
  • 初発年齢は5歳前後と30歳代にピークあり。
  • Willis動脈輪閉塞断端部から脳底槽および基底核穿通動脈に側副血行路である異常血管網、いわゆるもやもや新生血管が発達(脆弱な穿通枝同士が吻合をきたすのが特徴。)するので、もやもや病と称されている。※穿通枝同士が吻合をきたすのは、このもやもや病以外ない。
  • 小児では、一過性脳虚血性発作(TIA)型、梗塞型など虚血症状で発症することが多い。激しい啼泣や運動、ハーモニカを吹いた時や熱い食事をしたときの過換気により意識消失や、麻痺様の脱力発作を起こす。※過呼吸→アルカローシス→脳血管収縮→脳虚血症状という機序。
  • 成人例では、出血発症が多い。くも膜下出血(SAH)や脳実質内出血をきたす。成人でも梗塞を起こすことあり。
  • 閉塞は、前方循環系とくに、内頸動脈(ICA)末梢から、中大脳動脈(MCA)、前大脳動脈(ACA)に好発する。
  • また、ICAの比較的近位側(C5-C4)から高度狭窄、閉塞をきたす症例もある。
  • 診断には脳血管造影TOF MRAで、ICA(C1)からWillis動脈輪の両側性のTOF信号消失およびもやもや新生血管の増生を認める。
  • 他、脳血流シンチグラム、脳血管造影、脳波(過呼吸負荷で全般性連続性徐波)が行なわれる。

もやもや病確診例以外の類似の状態

(1)片側のみにもやもや病独自の血管撮影像があるが、反対側は全く正常な場合。
→「一側もやもや病」と呼ぶことあり。
→「もやもや病」に移行することもある。

(2)両側病変で血管撮影像はもやもや病の確診例であるが、除外診断の疾患を合併する場合。
→「類もやもや病」と呼ぶことあり。

画像所見

  • MRAにてWillis動脈輪の閉塞、もやもや新生血管がある程度描出される。
  • T2強調像にて、大脳谷槽内のMCA(M1)や大脳縦裂内のACA(A1-2)のflow voidの消失も重要な所見。
  • 軟膜髄膜吻合を介する側副血流が、造影T1強調像で増強効果を呈し、FLAIRでは高信号に描出されることがある(Ivy sign)。
症例 もやもや病(20歳代女性)

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▶動画で学ぶもやもや病(20歳代女性)


症例 一側もやもや病(50歳代女性)

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▶動画で学ぶ一側もやもや病(50歳代女性)


症例 30 歳の女性。数ヶ月前から数秒のめまいを一日数回自覚。

moyamoya disease放射線科診断専門医試験問題より引用。

内頚動脈先端部や中大脳動脈水平部の flow void が不明瞭。もやもや病を疑う所見。

症例 脳血流シンチ

第9回核医学専門医試験問題48より引用。

123I-IMP を用いた (1) 安静時および (2) アセタゾラミド負荷時の脳血流 SPECT 画像(定性画像)。

ダイアモックス負荷にて、血管予備能のコントラストが明瞭になったと考える。

安静時ほぼ正常に見えているが、ダイアモックス負荷で後頭葉以外、予備能が残っていないようです。

もやもや病が疑われます。

治療

  • 脳虚血症状を呈する場合は血行再建術が必要。
  • 脳血流SPECTによる、安静時脳血流量が正常の80%以下、脳循環予備能が10%以下と測定される血行力学的脳虚血stage2やPETによるmisery perfusion、が一般的に適応となる。
  • 浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術(STA-MCA anastomosis)が行なわれる。内頸動脈の閉塞なので、外頸動脈の枝である浅側頭動脈(STA、頭蓋骨外を走行)から中大脳動脈(MCA)に血流を送る。
  • その他、血管拡張薬の投与 など

もやもや病からの脳出血

  • 成人では発達した側副血行から出血が起こり、視床、大脳基底核、次いで脳室内出血で発症する。→比較的若年者の脳出血、特に脳室穿破を伴う場合には、本症を疑う。
  • 動脈瘤の合併が成人で6%に見られ、くも膜下出血で発症することもある。

若年者の脳梗塞の鑑別診断

  • もやもや病
  • 膠原病、血液凝固異常症(抗リン脂質抗体症候群など)
  • 先天性心疾患(脳塞栓)
  • ミトコンドリア脳筋症

参考)
よくわかる脳MRI 第3版 青木 茂樹先生
すぐ役立つ救急のCT・MRI (画像診断別冊KEY BOOKシリーズ) 井田正博先生



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