脳梗塞は一般的にMRIで診断しますが、CTが最初に撮られる施設がまだまだ多く、CTしかないという施設も多いというのが現状です。

CTで脳梗塞を否定することはできませんが、脳梗塞の初期像を捉えることができることがあります。

今回は、その初期像=早期虚血サイン、いわゆるearly CT signといわれるCTで見ることができる脳梗塞のサインについてまとめました。

early CT sign(早期虚血sign)とは?

early CT signって何ですか?

CTでは脳梗塞発症後24時間以降経過したものはわかりやすいのですが、それより前のものはなかなかわかりません。

ただし、発症数時間でCTでも脳梗塞がわかることがあります。これを示唆する所見をearly CT signといいます。

特徴的な部位と所見を覚えましょう。

・CT上、正常脳実質では皮質とレンズ核(被殻、淡蒼球=深部灰白質)は白質よりも常に少しだけhigh densityとして認識される。early CT sign

early CT signとは、動脈閉塞による虚血性変化によりこの関係がはっきりしなくなった所見である。

・頭蓋内主幹動脈のうち、最も脳梗塞が多いのはMCA領域。血栓溶解療法の対象となりやすい血管MCA領域はVA・BA系の領域に比べて骨からのartifactが少なく読影しやすい。

  • MCA閉塞5時間以内の81%に検出可能。
  • 3時間以内の31%に検出可能。 という報告あり。
  • MCA領域で障害されやすい部位&所見の検出されやすい部位=島皮質&レンズ核
  • early CT signはこういうareaをはじめとする脳実質での淡いlow densityのこと。

MCA領域以外のearly CT signを検出するのは非常に難しいです。

後に紹介するASPECTsでもMCA領域のearly CT signを点数化するものです。

ですので、とにかくMCA領域をまずは徹底的に見極められるようにして、他の部位はわかればラッキー程度と認識して読影しましょう。

early CT signのチェックポイント

皮質・白質の境界消失(皮髄境界消失) (loss of gray-white matter differentiation)

※島皮質はMCAが閉塞した場合、ACAとPCAからのcollateralから最も遠く、分水嶺となる。そのため、この部位の皮髄境界消失を特に、「loss of the insular ribbon」と呼ぶ。また、表示Window幅を十分狭くしないと皮髄境界は明瞭とならない。(80以下を推奨)

Silvius裂の狭小化、脳溝の狭小化・消失(effacement of the cortical sulsi)

レンズ核の不明瞭化(obscuration of the lentiform nucleus)

hyperdense MCA sign(MCAにひっかかった塞栓性血栓による所見)

  1. どの血管と比較しても高濃度
  2. 石灰化ではない。

関連記事)脳出血のCT所見の経時的変化とCT値の関係(石灰化との鑑別)
※hyperdense MCA signは広義のearly CT signに入れるが、血栓溶解療法の決定に影響は与えない。

脳の正常解剖は、頭部画像診断ツールでチェックください。

症例 動画で学ぶearly CT sign

▶キー画像
earlyctsign

earlyctsign1

わかりました。でもCTで脳梗塞があるってわかって、それが役に立つんですか?

まず日本ではまだまだCT firstですから、早期脳梗塞がCTでわかれば、MRIを続けて撮影しようと持って行けます。

また、このearly CT signで梗塞範囲を評価することが、治療に繋がります。

1/3MCA rule

  • MCA領域の1/3を超えるようなearly CT sign(+)のcaseでは出血のリスクが高いため血栓溶解療法の適応とならない。(1/3MCA rule)
  • しかし、MCA領域の1/3という体積を定性的に判断するのも無理があり混乱する。
    →いろいろな判断方法があるが、その一つがMELT-Japan基準

MELT-Japan基準

画像上治療適応
  1. CTで全く変化なし
  2. Sylvius裂に限局する軽微なearly CT sign(島皮質、前頭側頭弁蓋部) or/and レンズ核の不鮮明化を示す例
治療非適応

Sylvius裂以外の皮質領域でearly CT signがある例。

ASPECTS(Alberta Stroke Program Early CT Score)

  • MCA領域を半定量的に評価する方法。
  1. レンズ核と視床を通る軸位断
  2. それより約2cm上の断面側脳室体部レベル)の2スライスでMCA領域を10の領域に分け早期虚血の有無を判断し、スコア化する評価法。
  • スライスAで7領域、スライスBで3領域を設定する。

early CT sign

▶基底核レベル(スライスA)

  • 中大脳動脈領域前3分の1(M1)
  • 中大脳動脈領域中3分の1(M2)
  • 中大脳動脈領域後3分の1(M3)
  • 島皮質(I)
  • 尾状核(C)
  • レンズ核(L)
  • 内包(IC)

▶側脳室体部レベル(スライスB)

  • 中大脳動脈領域前3分の1(M4)
  • 中大脳動脈領域中3分の1(M5)
  • 中大脳動脈領域後3分の1(M6)
  • Early CT signsのある領域を10点満点から減点法で評価する。
  • 7点以下の症例ではそうでない症例に比べ転帰が不良である可能性が報告されている。
  • 7点以下の症例が中大脳動脈領域1/3を超えている可能性がある。

※ただしこの1/3という基準は、最新のガイドラインでは取り除かれ、「広範な」早期虚血性変化がある場合は血栓溶解療法は適応とならないとなっている。1/3というのが曖昧だったためか。

 

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参考&引用改変)
・月刊レジデント2009年8月内科医が知っておくべき救急医療 吸収医療センター脳血管内科 湧川佳幸先生

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